おはようございます。
神戸を中心に活動している公認会計士の押田大輔です。
いつもブログをお読み頂き、ありがとうございます。
今日は減資による節税についてです。
これは平成27年度の地方税改正で新設された制度です。
これまでは減資をしても法人住民税の均等割という税金は減りませんでしたが、改正によって可能になりました。
それではその内容を見ていきましょう。
赤字であっても払わなければいけない「法人住民税の均等割」とは?
利益が出たら税金を払いますが、法人の場合は赤字であっても払わなければいけない税金があります。
これを「法人住民税の均等割」といいます。
この均等割と言われる税金は、資本金の金額と従業員数によって金額が異なります。
例えば神戸市の場合ですと、
資本金が1千万円以下で従業員が50人以下の法人では5万円が均等割の額になります。
たとえ赤字であっても必ず5万円の税金を納めなければいけません。
5万円の均等割額が最低額となります。
次に、資本金が1千万円超になると均等割額は13万円~、資本金が1億円超になると16万円~と、資本金が大きくなればなるほど均等割額は多くなります。
均等割額の資本金の区分を整理すると、次のようになります。
資本金 | 均等割額 |
1千万円まで | 5万円 |
1千万円超~1億円まで | 13万円 |
1億円超の分類もありますが、資本金が1億円超の中小企業はあまりないと思いますのでここでは省略します。
1千万円という資本金を境に均等割額が変わることがポイントです。
減資(資本金を減らすこと)と均等割の関係
均等割(赤字であっても払わなければならない税金)は、資本金と従業員数によって決まることはお分かりいただけましたね。
ポイントは資本金1千万円です。
今の法律では新しく会社を作る場合の資本金はいくらでもよいとされています。
極端な話、1円でも良い訳です。
しかし昔の法律では株式会社の場合は資本金は最低1千万円と決められていました。
その影響で資本金1千万の株式会社が多いのが現実です。
しかし資本金が1千万円を超えている会社ももちろんあります。
例えば、「過去に増資をした」影響で資本金2千万円の会社があったとします。
この会社は赤字であっても毎年13万円の均等割額を支払うことになりますので、均等割額を減らしたいのであれば減資(資本金を減らすこと)をして資本金1千万円にすればよいと考えますよね。
しかし、これまでは減資をしても税金の計算上は減資がなかったこととして均等割額が計算されていました。
これが平成27年の税制改正により、ある一定の条件を満たした減資であれば均等割額も減らせるようになったのです。
まとめると、
以前 | 平成27年改正 | |
会計上の資本金 | 1千万円 | 1千万円 |
税金上の資本金 | 2千万円 | 1千万円 |
まとめ
今回のブログでご紹介した内容についての何点か留意点があります。
①適用時期:平成27年4月1日以後に開始する事業年度から適用される
②減資の種類:欠損補填による減資にのみ適用される
その他にも留意する点があります。
減資をしても均等割額が減らなかったということがないように、事前に専門家に相談してから行いましょう。