おはようございます。
押田公認会計士事務所です。

今日は「目標預金残高」についてです。

 

企業は赤字だから倒産するのではない

4月9日に東京商工リサーチより、「2017年倒産企業の財務データ分析調査」が公表されました。その中で興味深いのは、倒産企業の赤字企業率は53.7%と半数を超えましたが、逆に言うと、残り46.3%の企業は黒字決算にも関わらず倒産したということです。

「企業は赤字だから倒産するのではなく、資金繰りがもたなくなったから倒産するのだ」というのは使い古された言葉で、皆様も一度は耳にされたことがあるかと思います。

経営者の使命は企業を存続させることと言われ、企業を存続させるためには赤字か黒字かを意識する以上に、資金ショートを起こさせないよう日々の資金繰りに目を光らせておくことが欠かせません。

 

ところが、企業の資金繰りを見える化する道具である「資金繰り表」を作成されていらっしゃる会社は実は多くはありません。

経営者が預金通帳を見ながら経営するのではなく、資金ショートを起こす不安から解放され、本来目をやるべき商品・製品・お客様・社員を見ながら経営ができるための第一歩として、資金繰り表を作成して半年後の預金残高を常に見える化することをお勧めいたします。

 

金融機関は資金繰り表が大好き

資金繰り表は経営者にとって欠かせない道具であると同時に、実は、金融機関にとっても喉から手が出るほど欲しい資料なのです。

 

金融機関はお金を貸して利息を得ることで収益を上げるのがビジネスモデルです。毎月毎月、会社が返済してきますので、常に融資をし続けないとその収益が維持できません。

しかし、資金にゆとりがあり余裕しゃくしゃくとしている社長のところへ追加融資の提案に言っても、「今は足りているから」と断られるのが関の山です。支店に帰れば、「今月の数字が上がっていないぞ、もっと効率よく営業をかけろ」と檄を飛ばされます。

 

銀行員が効率よく融資をする上で、担当している100社近くの会社の中で、どの会社が、いつ頃資金ニーズが発生するかを事前に知っていられたら、これほど楽なことはありません

これを叶えられるのが、実は、会社から提出される資金繰り予定表なのです。

 

運転資金を長期の約定返済で毎月返済し続けている会社が多く、だいだいどの企業も半年くらい経過しますと預金残高が減ってまいりますので、返済した分相当の資金を融資を受けることで補充されています。

 

資金繰り表を提出すると、徐々に預金残高が減っていくのが銀行に分かってしまい、悪い印象を与えるのではないかと心配される経営者もいらっしゃいますが、毎月の利益で運転資金の返済を賄えきれない会社が多く、預金残高が減っていくのは当然と銀行員も分かっています。

ですから、気にされる必要はないと思います。

現に、これまでも毎年折返し融資を受けてこられたことと思います。

 

銀行員は資金繰り表を見れば、一目で預金が少なくなる時期が分かりますので、その2~3ヵ月前に営業をかければ良いなとピンとくるのです。

 

交渉力にたけた経営者の中には、資金繰り予定表に予め、融資を受ける金融機関、融資を受ける金額を記載しておき、「この時期に資金が必要だから、提案に来てくださいね」とアピールされる方もいらっしゃいます。

金融機関さんが欲しいと思っている資金繰り表のフォームですが、宮崎銀行さんのHPでエクセルファイルをダウンロードできますので、ご参考にしてみてください。

http://www.miyagin.co.jp/hojin/shikin_xls/

 

目標預金残高を設定されてみませんか

売上目標・利益目標を掲げていらっしゃる企業は多いと思いますが、資金繰り予定表を作成することで、毎月末の「預金残高目標」も是非掲げてみていただきたいと思います。

 

会社の存続を図るためには預金が何よりも大切です。常に毎月末の預金残高を確認し、目標に近づいているのか、遠ざかっているのかを確認してください。

こういった取り組みを継続することで、自然と資金繰りは改善されていくはずです。