おはようございます。

約束手形は今後なくなるといわれています。現在、手形を振り出している会社は注意が必要です。

約束手形がなくなるって、ほんと!?

日本では馴染み深い約束手形、手元に現金がないときに支払いを猶予してもらい資金繰りの負担を軽減する方 法として古くから用いられてきました。

今の制度は明治時代にできましたが、手形を使った商習慣は江戸時代か ら存在したといわれています。手形は信用取引(お互いの信頼関係)の中で生まれた日本独自の形式で海外ではほとんど見られません(中国、韓国など一部の地域のみ)。一度の仕入れ額が大きい、建設業、製造業などで広く使 われてきましたが、高度経済成長期にピークを迎え、その後 30 年で約束手形の流通量(総残高)は約 4 分の 1 に 減少しています。(※財務省調べ)

政府は、現金を受け取るまでの期間が長く受注側の中小企業の資金繰りを圧迫することや、ペーパーレスなど 社会の変化に合わせ、コスト削減などを理由に約束手形を 2026 年にも廃止する考えを明らかにしました。

今後の対策

まず政府は 2024 年をめどに、まずは手形の支払期日を現行の最大 120 日から 60 日に短縮し段階的に廃止する 考えを示しています。支払手形が廃止される 4 年後、資金繰りに窮することがないよう、今から代替手段の検討 が必要です。ここで代替手段をいくつか紹介させていただきます。

借入による資金調達

一つ目は、これまで支払手形に頼って運用していた資金を、短期できれば長期で借り入れすることです。

まとまった融資により、資金ショートのリスクを避けられ、資金繰りのために支払手形を利用する必要もなくなります。

今後、支払手形がなくなっても運転資金に困らないよう資金繰りの計画を立てることが大切です。資金調達の金 額の目安としては、例えば支払い条件 3 か月の約束手形を毎月 2,000 万円振り出しているとすると、6,000 万円 の資金調達が必要です。

でんさいの活用

二つ目として、でんさい(電子記録債権)を活用することです。

イメージとしては、約束手形の電子版で、紙の約束手形と異なり、受け取り側は期日管理が不要で、紛失盗難のリスクが無く、支払い側としては印紙税もかから ないものとなっております。

また、受け取った電子債権は分割して譲渡や割引をすることができるので、約束手 形と比べて使い勝手が良いです。ただし、でんさいを利用するためには、自社だけでなく相手取引先も利用でき る状態でないと取引できませんので、注意が必要です。現状、でんさいを利用している会社は多くはありません が、約束手形の廃止に伴い、利用者が増加することが予想されます。

ピンチをチャンスに!

約束手形の使用は、支払期日をうっかり忘れて「不渡り」を出すなど常にリスクをはらんでいます。不渡りは 一度出すと全ての金融機関に情報が伝達され、さらに半年に二度不渡りを繰り返すと金融取引が出来なくなり資金調達の手立てが断たれ、企業としては非常に厳しい状況に陥ります(事実上の倒産)。

経営者としては、支払が 猶予されることよりも、倒産リスクを取り除くことを最優先事項とし、約束手形を使わない決断も必要です。

中 小企業の経営者様は今までの慣習で約束手形をなくせないと考えている方も多いとは思いますが、5 年後に迫っ た支払手形の廃止を、倒産のリスクを払拭する絶好のチャンスと捉え、前向きに取り組んでみてはいかがでしょうか。