ご存知でしょうか? 金融機関の人事異動は急なため、細かい引継ぎはできていません…
皆様の取引している金融機関の人事異動も、4 月、10 月がほとんど。また人事異動は通常3 年前後と、とても早いサイクルです。皆様にとっては、「やっと会社のことを理解してくれて気心も知れてきたのに、また!?」というタイミングではないでしょうか。

『なぜ、そんなに異動するのか?』 理由は、2 つ!

①担当者の不正を未然に防ぐ

不正を起こさせない環境を作ることが目的です。同じ仕事を一人に長く任せていたことで不祥事に繋がってし
まった!という過去の事件も少なからずあります。さらに発覚が遅れてしまうと被害額が膨らみ、お客様に多大
な被害を及ぼすことにもなります。

②お客様との癒着を防ぐ

お客様とのお付き合いが長くなることでのメリットもありますが、金融機関側は、お客様との関係に緊張感が
なくなることで、癒着や横領に繋がることを恐れています。定期的に異動することで、抑止力に繋げ、担当者が
変わることで発見の機会を設けています。

引継ぎ期間はたったの4~5日

地域担当者は法人と個人を合わせれば500 件以上のお客様を受け持っている事が多いです。引継ぎの間は、ひたすら取引先をまわり、お客様と会えれば一言挨拶し名刺交換、不在の場合は、名刺をポストに入れます。1 日に50~60 件回るので新担当者もどこに行ったのかも、うろ覚えの状態です。そして夕方、支店に戻ってからは、注意すべき点などをまとめた引継表を作ります。

この一連の作業を、後任に引継ぐものと、新しい部署の前任から引継ぐものの両方をこなさなければなりません。さらには限られた時間の中で、金融機関業務と同時にプライベートの引っ越し準備もあり、残念ながら十分な引継ぎをしている時間はありません…
そのため、引継内容も注意点や仕掛作業がほとんどでお客様の歴史や人となりまでは十分に引継がれていないのが現状です。

支店長が変わることの弊害

同じ支店長といえども格付けがあります。例えばA 等級、B 等級といったように。そのため、転勤でA 等級の支店長がB 等級の支店長になった時、弊害が出てきます。当然、裁量権の上限が下がるため、支店長決済で直ぐに対応してくれた融資も本部稟議となってしまい、必要書類も多くなる可能性があります。「今まで言われたことのない書類を要求された!」という現象の多くがこのことが要因です。

自社のことをしっかりアピールしましょう!

新担当者には、ほとんど引継ぎはなされていないという前提で対応するのが望ましいです。また新担当者側も「こんなこと、今更聞いたら、社長、怒るだろうな…」と躊躇してしまうことも多いです。

金融機関の担当者が 変わると、「また、一からやり直しか…やっとうちのことを理解してくれるようになったのに…」と思われるでしょうが、このような事情を踏まえ、新担当者に対しても会社について一から丁寧に説明し、まずはご自身の会社 のファンになってもらいましょう。そして、融資稟議書を書いてもらうときにも自社の魅力を存分にアピールしてもらえるように、良好な関係をもう一度、築いていくようにしましょう。