おはようございます。
公認会計士の押田大輔です。
いつもブログをお読み頂き、ありがとうございます。
ブログをお読みになっている方の中には競馬好きの方もおられることと思います。
さて、今日は競馬好きの方に朗報!? な情報をお伝えしたいと思います。
「外れ馬券も経費になる!?」 についてです。
この話題はこの3月に最高裁判決が確定し新聞にも大きく掲載されましたので、ご存じの方も多いかもしれませんね。
判決について分かりやすくまとめると次のようになります。
被告である男性(41)は、独自に作成した競馬予測ソフトを使って馬券の大量購入を繰り返していました。具体的には、2007年から3年間で28億7千万円の馬券を購入し、30億1千万円の馬券の払戻金を受けていました。(ということは、3年間のトータルでの利益は差引1億4千万円ということになります。)
購入した馬券のうち「当り馬券」は1億3千万円でした。つまり27億4千万円は外れ馬券ということです。
【国税当局の主張】
経費として認められるのは「当り馬券」の1億3千万円のみである。
よって、税金=(30億1千万円-1億3千万円)×税率=5億8千万円
【被告の主張】
外れ馬券も経費として認めるべきだ。
従って、税金=(30億1千万円-28億7千万円)×税率=2,800万円
皆さんはどちらの考えが正しいと思いますか?
実は今回の最高裁判決が確定するまでは、国税当局の主張が正しかったんですね。
その根拠もあります。
(根拠条文等:所得税法第34条1項2項、所得税基本通宅34-1)
競馬による払戻金は「一時所得」とされる。また一時所得を得るために支出した金額(いわゆる必要経費)は、その収入を生じるために直接要した金額に限れれている。
つまり、「当り馬券」しか経費として認められなかったわけです。
「一時所得」には競馬の払戻金以外にも次の項目が挙げられます。
・懸賞の賞金や福引の当選金品等
・競輪の払戻金
・生命保険の解約返戻金
・法人からの贈与により取得する金品
・人格のない社団等の解散により受ける清算分配金又は脱退により受ける持分の払戻金
しかし、3月の最高裁判決は、「外れ馬券」の経費性も認めました。
この裁判で裁判長は次のように述べています。
「長期にわたり、網羅的な購入をして多額の利益えお恒常的にあげ、外れも含む一連の馬券の購入が経済活動と言える場合には、外れ馬券の購入費も経費と認めるべきだ」
これは、「外れ馬券」の経費性を認めるとともに、馬券を大量購入して得た巨額の払戻金は、「一時所得」ではなく「雑所得」であるという、国税庁とことなる判断も示しています。
国税庁の判断は昭和40年代に作られた判断基準によっているが、時代の背景にそぐわない場合には不合理な課税がなされないよう実態にあった課税をしていく必要があることを指摘しています。
この判決を受けて国税庁は所得税法基本通達34-1を改正すると発表し、現在パブリックコメントを募集しています。
「時代背景に沿った課税」
これはとても大切であるとともに、いまの時点で課税されていない商品についても時代が変化することによって課税対象になるかもしれないということです。
今回の最高裁判決ですが、すべての外れ馬券に経費性が認められた訳ではありませんので注意して下さい。
経済的活動と認められるような継続的な馬券の購入や規模によって外れ馬券の経費性が判断されることになります。
ちなみに宝くじは非課税ですので当選しても課税はされませんのでご安心を。