おはようございます。
押田公認会計士事務所です。
5月の健康診断でコレステロール値が若干悪かったこともあり、運動とダイエットを始めました。その成果あって体重が約4キロ減り、以前はきつくて苦しかった仕事のズボンがちょうど良い感じになりました。
これから食欲の秋になりますので、食べ過ぎてリバウンドしないようにと気を付けてはいますが…
今回は「無借金経営は良いのか悪いのか?」についてです。
巷の書籍では、
・無借金経営は最もやってはいけないこと
・借りるだけ借りろ
・借金は減らしてはいけない
など、借金を出来るだけすることが良いと言われ、無借金経営は悪のようにいわれているように感じます。
果たして本当でしょうか?
今回は無借金経営が良いのか悪いのかについて考えます。
無借金経営が悪いという根拠
無借金経営が悪いという根拠は、大体以下のようです。
①
業績が悪化
↓
資金繰りが悪化
↓
資金ショートして会社が倒産
↓
もっと借入をしていれば資金ショートしなかったはず
又は
②
銀行は返済実績のないところにしか貸さない
↓
大口得意先や災害で大きな損失を被った場合に、無借金の会社には貸さない
↓
無借金経営こそが倒産しやすい会社である
①の場合には、資金ショートの前に業績悪化が続いている時点で打つ手はなかったのか、②の場合には倒産防止共済の活用などが考えられます。
もちろん、会社は赤字では倒産しませんが、資金がなくなると倒産するので、手元キャッシュを蓄えておくことは重要であることは間違いありません。
しかし、だからといって、「無借金経営=悪いこと」と結論づけるのは極論過ぎます。
無借金経営は会社を潰すといったような表現は、極論を言うことで不安を煽っているのではないでしょうか。
無借金経営・実質無借金経営にも色々なパターンがある
無借金や実質無借金とは次の状態です。
無借金:借入金ゼロ
実質無借金:現預金>借入金
そして、無借金といっても、例えば次のパターンがあります。(実際はもっと色々なパターンがあります)
①手元キャッシュがとても多く、かつ借入金がゼロ
②手元キャッシュがとても少なく、かつ借入金がゼロ
巷の書籍等で「無借金経営は悪だ」という状態は上記②の状態のことを指していると思われます。
②の状態であれば、借入をしてでも手元キャッシュを増やすべきです。
目安は、手元キャッシュが総資産の30%になるまでです。
一方で、①の状態でかつ、手元キャッシュが総資産の60%であれば無借金でも問題ありません。
実質無借金の場合でも同様です。
手元キャッシュがとても少ない場合の実質無借金の状態では、借入をして手元キャッシュを増やすべきです。
その一方で、手元キャッシュがとても多い実質無借金かつ総資産の60%以上の手元キャッシュがあれば、実質無借金でも問題ありません。
色々なパターンを考慮せずに無借金経営が良いか悪いかを議論する意味はない
これまでお伝えしましたように、無借金・実質無借金といっても色々なパターンがあります。
まずは自社がどのパターンに当てはまるかを見極めなければいけません。
見極めることをする前に、無借金経営が良いか悪いかを議論することは本質からずれており、意味がありません。
さらに言うと、無借金経営を考える前に、会社の数値目標を設定出来ていないことこそ、本質的に問題があるといえます。
数値目標とは、手元キャッシュ・借入金・自己資本比率の最も良いバランスです。
このバランスが財務が最も良いバランスであり、原理原則に従った経営です。
極論を使って結論を導くのではなく、原理原則に乗っ取った経営をすること、そして数値面の原理原則を会計事務所が導いてさしあげることが必要なのではないでしょうか。
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