おはようございます。
押田公認会計士事務所です。
今回は税務調査対策についてです。
稟議書・見積書は大事
税務調査において痛感するのが、取引に至るまでの過程を重視しているということです。
例えば、
①新規に機械設備を導入し、併せて②既存設備の保守点検をした場合
を想定します。
日常処理として、請求書と作業完了報告書(納品書)を確認して、それが支払額と一致しているか等、支払と計上処理との合致に焦点を当てがちです。
それに対して税務調査の現場では、調査官は、「大きな投資計画の場合、まずは社内で稟議が上がり、合わせてこれを検討するために見積書を業者さんから受領しているはず。それらを確認させてほしい。」と要求されてきます。
「作業した業者さんとしては、請求総額が受取れれば(仕事をさせていただけれるのであれば)、その内訳はどうでもいいと考えることもあるでしょう。よって最終的な請求書には、その作業の内訳が発注側の会社の恣意性が入ることもあるでしょう」ということです。
例えば今回のケースでは、①新規の機械の取得と②既存の設備の保守が同じ業者さんで行われました。
①は固定資産となり、②は修繕費(保守費)となるでしょう。会社側としては、できるだけ①の金額を抑えて②に振り向けたいと思うはずです。
また、作業完了報告書や納品書に関しては、「発注側の指示で、その完了日の記載を変更されている可能性」もあるかもしれません。
その点、社内での稟議書やその時の見積書こそが、実際の金額に近いと考えられますし、導入に至る実際のスケジュールを示しています。
それらと実際の請求書・作業完了報告書等の表示とが乖離していたときは、場合によっては業者さんに反面調査を行い、事実関係を確認されることもあります。
とは言っても、最初にとる見積りから値段交渉を行い、最終的に変更されて決着することは一般的ですし、作業完了日の記載を調整しても、実際に事業供用した日に固定資産の計上や修繕費の計上になる税法の取扱いとなっています。
税務調査において疑われないためにも、稟議書や当初の見積りはしっかり残しておき、請求書・作業完了報告書とともに、固定資産の取得・検収から事業供用への記録を社内的にも残しておくと万全でしょう。
議事録・契約書で客観的に残しましょう
中小企業の多くは同族経営です。
同族経営だと社内会議や同族関係者間の取引について、議事録や契約書等の書類の整備が、疎かになりがちです。
社内会議といっても、会議室で行うというより、喫茶店等で話合うようなことが多いかもしれません。
その際にされた『メモ』が、調査官に当時の事実関係を証明できたというケースもありましたが、これらの会議の議事録を残すことで、対外的に非常に高く評価されます。
税務調査の場面においても、調査官は議事録のファイルを求めてきます。そこでしっかりファイリングされていると、好印象です。
同族関係者間の取引においても、契約書の備えを忘れないでください。