おはようございます。
神戸の税理士・公認会計士・農業経営アドバイザーの押田大輔です。

今日のコラムは決算書についてです。

決算書の受け渡しは、お互いに緊張する場面

決算書というのは会社の通信簿のようなものです。

おそらく銀行員に提出するのも年に一度のことです。また、支店を訪問して提出する場合には融資決裁者である支店長が登場することもあります。

金融機関出身者など、よほど金融機関の内情を知っている経営者でない限り、

「この担当者(支店長)は、決算書を見てどう思うのか、何を言ってくるのか」と、ドキドキするものです。

しかし実は相手方の銀行員も、経営者と同じくらい緊張しています

 

決算書を受け取ったら真っ先にP/Lの利益状況を確認して、

黒字であれば「良いご決算ですね!」、赤字であれば「大変ですね」と簡単に評価をする銀行員もいるかもしれません。

しかしこれは最もダメな対応と指導されています。

良い悪いを勝手に評価すること自体に問題があり、経営者に対して失礼になるからです。

かと言って「鋭いことを聞いてくるな」と感心されるような鋭い質問が果たして自分にできるだろうかと、銀行員も内心ドキドキしているのです。

このように、決算書を渡す場面ではお互いに緊張しあっているものなのです。

しかし経営者にとっては銀行員が決算書の何を見ているのかを知ることで、その緊張感も軽減されるのではないでしょうか。

主要な科目は過去3期分を頭に入れている

銀行員は決算書を受け取る前の準備として、過去3期分における主要科目を頭に入れていると思っておいた方が良いでしょう。

主要科目とは貸借対照表であれば、資産合計・流動資産・固定資産の合計金額及び流動負債・固定負債・純資産の合計金額のことです。

決算書をチェックする際は、まず貸借対照表を中心に見ていきます

「貸借対照表さえ確認すればすべて見えてくる」と思っています

損益計算書はあくまでも一年間の期間損益に過ぎず、貸借対照表の補足資料という認識をしています。

損益計算書を重視している訳ではありませんのでご注意ください。

過去3期分の主要数字を頭に入れておくことで、過去の数値を頭の中で比較しながら、大きく増減のある科目があれば、

「失礼ですが、どうして売掛金が前期と比較してこんなに増えているのでしょうか?」

「どうして棚卸資産がこんなに減っているのでしょうか?」

などと質問を投げかけることができるのです。

 

なぜ銀行員が数字の比較検討をするのかというと、数字の変化の背景を知りたいからです。

決算書の数字が前期と比べて何の理由もなく変わることはありません。

その背景には何か必ず社長の意図・意向があります。

それらを知ることで資金ニーズがあるかもしれないと自身で仮説が立てられ、融資案件につなげていくことが出来るのです。

 

一番の方法は決算説明書を社長自ら作成すること

決算書を渡す場面というのは、経営者の方も銀行員の方もお互いに緊張するものです。

その緊張を和らげる方法して「決算説明書」をA4用紙2枚くらいにまとめて提出することがおすすめです。

その作成の際のポイントはやはり過去3期分の数字と比較分析し、その増減の理由をまとめ上げることです。

 

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