おはようございます。

公認会計士の押田大輔です。

いつもブログをお読み頂き、ありがとうございます。

今日は相続対策の生前贈与について考えます。

 

年間110万円までの贈与でよいのか?

相続対策として子や孫に生前贈与をする場合、1人当たり年間110万円までしか贈与しないケースがよくあります。

理由は110万円を超える贈与に対しては贈与税がかかるからです。

「相続対策はしたい。でも税金は払いたくない。」といった心理がどうしても働きます。

しかし、相続対策という節税の場合はトータルの税額で判断すべきです。

具体的には、生前贈与による贈与税の合計と相続税の合計を比べて、どうすれば最も有利なのかを判断すべきということです。

トータルで考えた場合、贈与税を払ってでも生前贈与を多くしておいた方がお得になるケースもあるんです。

分かりやすいように具体的な数字をあげてみましょう。

 

贈与税を払った方が得な場合もある

【条件】

・子供1人

・相続財産試算額 6,000万円(自宅や現預金などすべて)

 

【年間110万円の生前贈与を5年行い、5年後に相続が発生した場合】

年間110万円の贈与ですので、毎年の贈与税は発生しません。

従って5年間で納める贈与税はゼロ円です。

一方で相続税額は、約293万円になります。

よってこのケースでのトータル税額は293万円ということになります。

 

【年間510万円の生前贈与を5年行い、5年後に相続税が発生した場合】

年間110万円超の贈与ですので、贈与税額が発生します。

毎年の贈与税は50万円となります。

一方、このケースでは相続税はかかりません。相続税は0円です。

トータル税額は250万円(年間贈与税50万円×5年間)になります。

 

上記のケースでは、年間110万円を超えた贈与を行った方がトータル税額では約43万円低くすみました。

 

まとめ

相続人の数や相続財産によっては年間の贈与額は110万円を超える方が有利な場合があります。

現時点での相続財産の試算や贈与税・相続税の計算は正確に行わなければ、間違った結果になる恐れもあります。

ただ押さえておきたいのは、

「年間の贈与は110万円まで!」

といった考え方に固執すべきではないということです。